に連載していた「明るい方へ」が単行本として
発売されることになりました。
明るい方へ 父・太宰治と母・太田静子
# 出版社: 朝日新聞出版 (2009/9/4)
# ISBN-10: 4022506342
# ISBN-13: 978-4022506344
# 発売日: 2009/9/4
価格:1,260円(税込)
http://www012.upp.so-net.ne.jp/haruko/
http://store.shopping.yahoo.co.jp/7andy/r0444216.html
2009年9月4日の発売です。手元にある『一冊の本』
2009年9月号にも連載されておりますが、こちらで
連載は最終回でした。連載の第一回から最終回までが
この単行本に載っていることになります。
バックナンバーが売り切れだったので最初の号が読めて
いなかった私としては、この単行本の発売は非常に有り
難い。しかも連載の最終回と同時期に、236ページの立派な
装丁の単行本として発売されるとは驚きです。
一冊の本
http://publications.asahi.com/ecs/22.shtml
http://publications.asahi.com/ecs/backnumber/22.shtml
太田治子さんは、実の娘でありながら、たいへん距離を置いて
父・太宰治を見ている・・と、この連載を読んでいると感じ
ます。「太宰の際だつダラシナサ」というと、あまりにも
ネガティブですが、多くの男性が習性として持つ、その場
しのぎの恋愛感情みたいなものがあぶり出されてしまって、
ちょっと太宰が気の毒なくらいです。
しかし、下記の事実を知ると・・・呆れますね。
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同じ頃、太宰治が田中英光への手紙に、「・・・僕もいま
死にたいくらいつらくて、(つい深入りした女なども出来、
どうしたらいいのか途方に暮れたりしていて)」などと
書いているとは夢にも思わなかった。(一冊の本 2009.8)
※ 「同じ頃」とは治子さんを身ごもった後、「しばらく
電話も手紙もよこさないほうがいいようです。」と
太宰が静子さんに手紙を送った頃のようです。
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母子、死んでいたかもしれないような過酷な状況でも、
本家には金銭的な援助も受けられず、しかし不死鳥の
ように実の娘が「大先生の肖像」を書き換えている・・・
というと、この作品の値打ちを落としてしまうようで
恐縮ですが、実は胸のすく思いがすることも確かです。
「さあ、誰も助けてはくれない」となり、覚悟を決めて、
治子さんを育てるために働き続けた静子さん。健気で
しかも老齢まで一貫させた人生は本当に美しい。この書籍を
通して、それが知られることを願います。
情報ありがとうございました。
長部日出雄「桜桃とキリスト」を読み始めました。
太田静子さんのくだりから読むという邪道で。
とても面白い。そしてオーソドックスな文学の香りがします。
わたしは野原一夫氏の本で、太宰が身重の身で相談に訪れた静子さんをどこまでも無視し、おとりまき(という言い方は失礼ですが)との会話に終始した、「千草でのあの夜」のことが、いつも気になっていました。
「明るい方へ」では、太宰は、それでも静子さんの手提げ袋でお酒を買いに行き、道々、泣いていたかも知れない、というくだりになっていて、私などは、ほっとするやら、うならされるやら、救われるやら。
泣いていたかどうか、その事実は誰もわかりませんが、なんだかそれが正解のような気もしました。
手提げ袋の話を聞いて、納得できてしまうのは、メアリ女王さまも、太田治子さんも、やはり女性だから、どちらかというと男性に甘い・・・ということに思えてしまいます。
押尾学は2度と電波に乗るな!と思う一方で、のりピーは復帰もありえる!と退路を作ってあげたいような気もするのは、男の目線かも知れません。
(のりピーは全然好みでは無いのですが・・・)
太田治子さんと並べてくださって光栄ですが、なるほど、男に甘いんですね〜。
いや、手提げ袋を持って、というのは、女たらしっぽいですね。
って、わかってはいるのですが…ははは。きっと作者も?
金子みすずの詩は合唱曲で歌ったことがあります。
ピアノ様のハンドルネームと関係ないかもしれませんが、わたしの職業は、ピアノと声楽のレスナーです。
ところで、わたしは「斜陽」はやはり、よい素材を味付けしたプロのシゴトであって、盗作とまでは思いませんが、なぜこんなに読みやすい「斜陽日記」の評価があれこれ言われて評価が低いのか以前から疑問でした。
私も太宰の作品は大好きで、好きだからこそ、その背景が知りたくなったのです。大学生の頃は共感もしましたし、もともと手放しで好きな作家のうちのひとりでした。しかし、文学部のトイレの壁に「ダザイはサイテイ」と書かれていたことが、ずっとひっかかっていて、こんなにデリカシーがあって、繊細な人間を否定するような読者がいるものなのか・・・と社会人になってからも思っていたのです。
この落書きを書いた学生(?)が、太宰のどんな部分をそう感じていたのか、定かではありませんが、大人になって、研究者や周囲の人たちの著作を読んでいたら、なんとなくわかるような気がして・・・。現代人の尺度で見ては、いけないようにも思えますが、破天荒ではすまされないようなエピソードが盛りだくさん過ぎる。
28才で亡くなった田部シメ子(別名田部あつみ、田辺あつみ)さんを筆頭に、小山初代さんと太田静子さんで「ロンドンハーツ魔性の男・被害者友の会」を結成しても良いくらいだと思います。たとえが、ちょっと古いですが。
その点、音楽・・・特にピアノは良いですね。
モーツァルトのピアノ協奏曲23番 第2楽章やラヴェルの亡き王女のためのパヴァーヌは心に響きます。音楽は文学よりも普遍性が高いと思いますので、子供にも習わせています。
Pavane pour une Infante defunte:RAVEL Fujiko Hemming
http://www.youtube.com/watch?v=fnad7ulkE9k